あなたの腰痛が治らない理由 その3 睡眠不足で腰痛に?改善すると腰痛だけでなくパフォーマンスの向上も期待できる!!
睡眠と腰痛の関係について、検索すると基本は寝具などについて検索されてしまいます。
寝る姿勢ももちろん腰痛の原因になり得ます。
体を反って痛みが出現する人が、うつ伏せで寝る。腰痛ある方が寝返りできないソファーで寝る。などでしょうか。
さらに、女性は基本的に骨盤の横径が広いので、横になって寝ると、上の足が内側に入ってしまいます。
股関節が固いと、骨盤を足のほうに引っ張りますので、腰への負担が増します。
骨盤に仙腸関節というものがあります。足が内側に入ると、仙腸関節にも負担がかかります。
産前産後はこの関節が緩んでますので、痛みの原因になるかもしれません。
痛い場合の対策は、横向きで寝るときに丸めたタオルなどを、内またに挟んで寝ると痛みが楽になります。
私が治療するときに、寝る姿勢も腰痛の原因になることを指摘することはあまりありません。
ちょっとこの姿勢で寝てみて、眠れそうになかったらいつもの姿勢に戻りましょう。程度。
それは、寝る姿勢を変えると、眠れなくなる方もいるからです。
そして眠れないことで、腰痛が強く出現する人も多くいるのです。
では、なぜ腰痛と睡眠が関係しているのでしょうか?
※ 腰痛と睡眠は因果関係ではありません。腰痛があるから睡眠障害である。睡眠障害だから腰痛であるということではありません。睡眠は、基本的に健康要素でありますので、腰痛をひどくする、もしくは治りにくいと理解していただけると助かります。
今回は、睡眠不足が体に与える影響や、腰痛に関連すること、さらにその改善方法について考えていきます。
睡眠不足が体に与える影響~睡眠不足は意外と怖い~
睡眠不足、頑張っているのに少しずつ体を蝕んでいます。
睡眠と死亡率の関係を見ると・・・・
とある、質の高い研究では7時間を基準に睡眠が少ない、または多い方の全体的な死亡リスクについて検討しています。(Jiawei Yin et al 2017)
この研究では、睡眠時間が3時間のひとは、睡眠時間が7時間のひとと比べて、1.12倍高いことがわかりました。
ただ、睡眠時間が長すぎるほうが死亡リスクは高いようです。
ということで、睡眠は一般的に7時間程度が良いとされております。
しかし、総務省の調べによると、日本人の5人に1人は睡眠不足という結果でした。
睡眠不足は体に悪いのか?頑張っているのに!!
と思われる方も多いかもしれません。
しかし、
ストレスの増加、免疫の弱化、体重増加(最初の1週間は減るらしい)、気分障害、認知機能低下など、様々な影響が出現ことがわかっています。
特に、私のような労働者は認知機能低下によって仕事の判断力が低下していくので、死活問題です。
1分1秒が勝負の株トレーダーだったら、すごい損失を出してしまうかもしれません。
眠いと気分がすぐれないことよくあります。そして、そんな日は決まって愚痴が多くなるように感じます。
ですので、よく眠れるということは健康的な生活だけでなく、前向きに、仕事をバリバリするために重要なのです。
睡眠不足と腰痛の関係
そんな睡眠ですが、腰痛にも関連があります。
一つ研究を紹介します。
この研究はメタアナリシスという手法を用いています。
世界でいろんな研究やって発表されているけど、それらを全部集めて今のところの傾向を把握しようという、科学的根拠が最高レベルの研究がメタアナリシスです。
結果は、睡眠の質と睡眠量の低下は、疼痛状態を発症するリスクが2〜3倍増加、炎症マーカのわずかな上昇、自己申告による身体的健康状態の低下と関連していました。
さらに、睡眠の悪化は自己申告による身体機能の悪化(中程度の効果)に関連し、睡眠の改善は身体機能の向上(小さい効果)に関連することが明らかになりました。(EF Afolalu 2018)
わかりにくい用語もいっぱいでできましたが、睡眠不足では痛みが強くなるし、どこかが悪いという感覚があるということです。
では、腰痛ではどのようなことが言われているでしょうか?
慢性疼痛と疼痛強度が睡眠の質の重要な予測因子である(S Karaman 2014)
睡眠の質が疼痛強度と強く関連(Alssaadi SM 2014)
消防士を対象とした研究において、睡眠障害のある人は、新しい腰痛または慢性的な放散痛になるリスクが2.4倍高い。(S Lusa 2015)
もちろんこのような結果は、腰痛だけではなく、“うつ”との関連があります。
精神的な安定も必要です。
精神的、または脳と関連がある腰痛については次の機会に。
睡眠を改善する方法
では、良い睡眠をとるにはどのようにしたらよいのか?
もちろん、医師に相談したほうが良い方もおおくいらっしゃると思います。
今回は、よりよい眠りをするための方法について考えていきます。
まず、1つめ。
運動!!
とりあえず、体を疲れさせることが重要です。
汗をかく程度の運動を30分から1時間程度行うとよいです。
あまり過激なことをやりすぎると、眠れなくなることもあります。運動をあまり行っていない人は、徐々に運動したほうが良いかと思います。
2つめ。
寝る前のスマホ厳禁
これはみなさんご存じですね。
ブルーライトが睡眠に悪影響を及ぼすようです。
3つめ
入浴
寝る2から3時間前に入浴するとよいと思います。入浴は体温を高めるので、運動と同じ効果があると思われております。
ジムに行ってハードワークを行っている人にはよい情報を提供します。
激しい運動後の全身浴の実施は、シャワーだけに比べて時間経過と共に自律神経系の興奮を沈静化し、スムーズな入眠をもたらす可能性があるようです。 (大平 2019)
ですので、ジムに行ってシャワーだけでなく、入浴することによって安眠できそうですね。
4つめ、
毎日同じ時間に起きて、日光を浴びる
5つめ、寝酒はしない。寝酒は眠りを浅くします。
思いつくのはこれくらいかな。
最後に
国立精神・神経医療研究センター精神生理研究部が運営しているサイトのアドレスを記載しておきます。
自分が朝方なのか夜型なのか?自分の睡眠に問題はないか?ということを判別できます。
まずは自分の睡眠を評価してみてください。
まとめ
・寝る姿勢でも痛みが生じる
・睡眠が阻害されると、腰痛だけでなく、次の日の活動に影響を及ぼす。
・睡眠障害があると、腰痛を発生しやすくなるだけでなく、痛みの強さにも影響する。
・良い睡眠のためには運動、入浴!!
E F Afolalu et al : Effects of Sleep Changes on Pain-Related Health Outcomes in the General Population: A Systematic Review of Longitudinal Studies With Exploratory Meta-Analysis. Sleep Med Rev, 39, 82-97 Jun 2018
Jiawei Yin et al : Relationship of Sleep Duration With All-Cause Mortality and Cardiovascular Events: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies, J Am Heart Assoc 6 (9) 2017
S Karaman et al : Prevalence of Sleep Disturbance in Chronic Pain, Eur Rev Med Pharmacol Sci, 18 (17), 2475-81 2014
Alssaadi SM et al : Poor Sleep Quality Is Strongly Associated With Subsequent Pain Intensity in Patients With Acute Low Back Pain Arthritis Rheumatol, 66 (5), 1388-94 May 2014
Lusa et al : Sleep Disturbances Predict Long-Term Changes in Low Back Pain Among Finnish Firefighters: 13-year Follow-Up Study, Int Arch Occup Environ Health, 88 (3), 369-79 Apr 2015
大平 雅子 他:運動後の入浴方法の違いが睡眠の質に及ぼす影響.日本健康開発雑誌(40 ), 31-38. 2019