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あなたの腰痛が治らない理由 その2 体の使い方とお尻の筋肉。それは腰痛を治すカギになるかもしれない。


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腰痛。それは日本では患者数が2,800万人もいるといわれている、国民病。

 

厚生労働省の調査でも受診率は男性で1位。女性で2位。

 

 

さて、今回は、そんな国民病:腰痛の身体的な理由と改善方法について考えていきます。

 

腰痛と体の使い方の関係。

 

長い時間、中腰でいることが腰の筋肉にとって負担であり、血行障害を起こすことがわかっています。(Konno et al 1994)

 

また、厚生労働省の国民調査でも、対象の物が重かったり、下から上に物を運ぶときに腰痛が発生しやすいことがわかっています。

 

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では、なぜ中腰が、腰痛と関係あるのか?

 

今回は、骨格や体の使い方に焦点を当て、その改善方法についてお伝えいたします。

 

骨格や、体の使い方が腰痛と関係する理由

 

それは、人間の持っている“骨格”が関係するようです。

 

まずは、背骨の形状を知ることが必要。なんで、その説明から。

 

人間の背骨は、全部で24個あって、それを総称して脊柱と呼ばれています。

 

脊柱。柱と書くくせに、若干カーブしてるんだな・・・・

 

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首の骨7個あって、前に弯曲してます。反っている感じ。

胸の後ろの背骨12個あって、後ろに弯曲しています。丸まってる感じ。

腰の骨5個あって、前に弯曲しています。反っている感じ。

 

全体を見るとS字カーブを描いているように見えます。

 

え?これがなんで腰痛と関係あるの?

 

あるんですよー。

 

このカーブが基本なんです。

 

例えば、前屈すると、腰骨が沿っているところから丸くなります。

 

後屈すると腰がさらに反ってしまいます。

 

それが悪いわけでなないです。しっかりと動く証拠なので。

 

ただ、沿った姿勢、丸まった姿勢など、同じ姿勢をずっと続けると、関節や筋肉にとっては負担なのです。

 

簡単に体験してみましょう。

 

片手で、ちょっと重いなーと思うものを持ってください。

 

それを、肘を伸ばして、体からなるべく離して持ってみてください。

 

相当疲れると思います。

 

では、それから、肩を下ろし、肘を90度くらいまで曲げてみてください。

 

ずいぶん楽になったと思います。

それは、肘と方がちょうどよい角度にあるから。肘の筋肉もちょうどよい長さで働けるからです。

そのほかにも、運動学的にモーメントアームがどうとかありますが、今回は割愛。

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では、腰はどうなのか?

 

下のものを取るときのことを考えましょう。

 

下のものを取るときに、腰を曲げると、筋肉は肘を伸ばした時と同じように、相当負担がかかります。

腰は、少し反ったほうが自然に筋肉を使えるので。

 

なので、股関節をしっかり曲げて、なるべく腰が“いい感じ”に反った状態で持ち上げると負担が少ないのです。

 

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なので、腰痛予防には股関節が重要なのです。

 

 股関節(特にお尻の筋肉)が腰痛と関係する科学的根拠

このように股関節を十分に曲げて、ものを持ち上げることが、腰の位置を“いい感じ”に保つコツです。

股関節をしっかり働かせることが、腰痛予防になる意味が見て取れましたね!!

 

股関節で重要なのは、十分な可動性と筋力です。

 

可動性は、十分に曲げる必要があるので、固いと結局腰が丸くなる必要があります。

 

筋力がないと、十分に曲げたところから、持ち上げることができません。

 

では、股関節が腰痛に関連しているのか?

 

科学的根拠を示します。

 

・非特異的慢性腰痛患者は,中殿筋の弱化(Tracy 2014),殿筋の圧痛がある.(Cooper 2016)

 

・腰痛かつ下肢痛患者がある患者の50%に骨盤周囲筋(殿筋と梨状筋)に萎縮がある.(Skorupska 2016)

 

・腰痛患者の中殿筋は、腰痛のない患者の中殿筋と比較して筋力低下とより多くの圧痛がある。(Sadler 2019)

 

いかがでしょうか。

もちろん、背中の筋力や持久力も科学的根拠はありますが、それは他の方が十分に示しておりますので、今回は割愛します。

 

股関節の筋肉は、基本的におなかのほうにある筋肉と、お尻のほうにある筋肉があります。

 

図のようにいろんな筋肉がありますが、覚える必要はありません。全部まとめて“殿筋群”とします。

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しかし、筋力が重要であるのは、お尻の筋肉のほうです。

 

ちなみにお腹の筋肉のほうが腰痛と関わることも多いです。そちらは、基本的にストレッチが必要であることが多いです。

 

お尻の筋肉の鍛え方

では、どのように鍛えるか?

 

まず大事なのは、できるだけ大きい動きで鍛えること。

 これを心がけてみてください。

 

一つ目に、うつ伏せで寝た状態から、足を上にあげます。

 

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腰をそらす方が多いので、しっかりとお尻の筋肉が働いているなーと感じることが重要です。

無理に足を上げると、腰が反ってしまい、痛みの原因になることも。

 

 

次にお尻の外側の筋肉。横向きに寝て、足を上にあげます。

 

注意点は体側上にまっすぐ上げることです。

もう一つは、膝が内側(下を)向かないことです。

 

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ほとんどの人は、足が前に移動してから上がってしまいます。

 

体の延長上にまっすぐ横に挙げてください。そうすると、お尻のほうの筋肉が働いているのがわかります。

 

足が、前に移動すると、太ももの外側が張ってくるのがわかると思います。

 

しっかり足を横に挙げて、お尻の筋肉を働かせてください。

 

さらにもう一つ。クラムエクササイズという有名なトレーニンがあります。

 

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横向きに寝て、上になった足を曲げて、足首を下になった膝の上に置きます。

 

足首を下の膝の上に置いたまま、上の足の膝を天井のほうに持っていきます。

 

上にあげたら7秒かけて、膝を床までおろしてください

 

10回やります。多分7回目くらいでお尻が痛くなります。

 

あとは、お相撲さんの立ち合いの姿勢でストレッチ。

 

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相撲の立ち合いを見ると、膝が外側を向いた状態でしゃがみ込みをおこなってます。それでいて、腰が少し反っている。

 

最高の姿勢です。

 

この姿勢を練習すると、可動性が増します。

 

ちなみに、相撲の四股、パワーリフティングの姿勢はだいぶ似ていますね。

 

これはパワーポジションといって、パフォーマンスが上がりやすい姿勢です。

ぜひ、スポーツをやっている人はマスターしておきたい姿勢です。

 

パワー系のスポーツでなければ、パワーポジションより少しだけ腰を曲げたほうが動きやすいのですが・・・

 

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最後に、スポーツを行う人はやったほうがよいトレーニング。

 

片足で立ちます。

 

そこからできるだけ背骨をまっすぐ保ち、地面についているほうの股関節を十分に曲げます。

反対の手で、足の外側を触ります。

 

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股関節が弱いと、片足でできないかもしれません。まずは壁などを触りながら練習してみてください。

 

必ず、スポーツのパフォーマンス向上にも役立ちます。

 

今回はここまで。

 

まとめ

・      腰痛が発生するのは中腰で長くいることや、下から上へものを動かしたときに多い。

・      背骨(脊柱)はS字に弯曲し、そのカーブを保つことが腰痛予防に重要。

・      背骨のカーブを保ち腰痛を予防、または治すにはお尻の筋肉を鍛えたほうが良い。

 

Skorupska E, Keczmer P, Łochowski RM, Tomal P, Rychlik M, Samborski W: Reliability of MR-Based Volumetric 3-D Analysis of Pelvic Muscles among Subjects with Low Back with Leg Pain and Healthy Volunteers. PLoS One. 2016 Jul 26;11(7):

 

Cooper NA, Scavo KM, Strickland KJ, Tipayamongkol N, Nicholson JD, Bewyer DC, Sluka KA: Prevalence of gluteus medius weakness in people with chronic low back pain compared to healthy controls. Eur Spine J. 2016 Apr;25(4):1258-65

 

Sadler S, Cassidy S, Peterson B, Spink M, Chuter V.:Gluteus medius muscle function in people with and without low back pain: a systematic review. BMC Musculoskelet Disord. 2019 Oct 22;20(1):463